Masters and Grand Masters

シャムバーラマスター達は暗黒が何者か知ります

シャムバーラマスター達は、暗黒には二つの顔があることを知っています。そのうちのより顔馴染みの方は、他人、特に謗りなき傍観者に当り散らす怒りであります。暗黒のかような面は、怖い顔で子供達に恐怖と聖戦意識を押し付けコントロールするなど、手広い行動範囲をもちます。

シャムバーラマスター達は、暗黒のもう一つの顔はベールに被われて、その正体を正すことはとても難しいことをよく知っています。この方の顔もやはり広い行動分野を持ちます。しかし暴力的で実践的な顔とは異なり、このベールを被った暗黒は時に無害なものに仮装されて、多くの場合、祝福且つ奨励されています。

暗黒の二つの顔は、同じ源から発します。そして両方とも一つの世代から次の世代に受け継がれます。しかしどちらも人間の本性ではありません。ベールに被われた方の暗黒は、私達の幼年時代の傷ついた感受性（例えば挫折感、怒り、憤怒、無気力感）等と、それから逃れようとする切実な要求との合間に、その原因が介在します。しかしこのベールに被われた暗黒は、人々がこれを当たり前なものと考え受け入れる所に、我々が危険千万な暗黒と名指す方より遥かに陰湿な面をもっています。

当然なものとして受け入れる暗黒

多くの人々が隠された方の暗黒を当然なものとして受け入れますが、その理由は逃避することに依って自身の挫折感、怒り、憤怒等を外に表さなくてもよろしいと考えるためです。彼らは自分の人生が醸す苦痛から逃避するのは当り前であり、そうする事に依って自らの人生を調整できると考えるのです。彼らはこんな独り言をつぶやきます：“もしも無鉄砲で野蛮的な行動を取るのが私に許されぬものなら、挫折感と怒りと、憤怒と無気力感に満ち満ちた私の心から逃れ出ようとするのは当然なことである”。

シャムバーラマスター達は、隠された方の暗黒とは逃避に他ならぬものである事をよく知っています。何者から逃避するのでしょうか。安らかでない自分の心境から逃避するのです。安らかからぬ真実と心境から脱出できる無数の抜け道が、私達を迷わします。幼い頃、人々は生き延びるための最上の逃げ道を素早く選び取りました。子供達にとって苦痛感に対処できるるたった一つの道は、自らをその物から隔離することした。成人になっても、彼らは次の様な理由のためいまだに昔の仕掛けに頼っています：

彼らは、感情的に苦痛で安からぬ心情に対応出来る耐性を、いまだに築いでいない。
そういう苦しい心境を誰が、何時、何処て、何故、醸したのかという詮索を心に抱くのは、社会的に好もしくない。
人間の心情というものは凡そ気まぐれなもので、それに拘る人は青二才か女々しい者と看做される。
逃避とは、全世界で流行っているゲームでもある。逃避とは、商業的にも儲けが宜しいもので、社会的に広く奨励されている。例えば、演芸界や運動界は一般大衆に手安い逃避を提供するばかりでなく、国家経済そのものが他の逃避産業を合わせてこれらに依存している状態である。

逃避とは一時的な慰安でしかない

人々は、かように親切な逃避こそ、彼らの険悪で、憤怒に満ち、且つ無気力な、心情をほぐしてくれる妙薬であるぞよと誘惑されます。しかしシャムバーラマスターたちはそれが真でないことをよく知っています。逃避は、決して安らかからぬ心情をほぐしてくれる者ではありません。逃避とは一時的な慰安でしかないのです。逃避は、人々をして彼らの人生に於ける実質的で時には苦しい現実を真正面より対決すべき決断から眼をそらすように仕向けるのです。

逃避は、また事態を悪化させます。逃避した後、人々は取り捌かなかった問題がひとりでに大きくなり、事態がより悪化されているのを見出します。胸底ふかく育まれる圧迫感はその圧力を絶え間なく大きくします。人々はつまりこういう膨張する圧力釜から逃げ出そうとするのです。

人々が心底から恐れるのは自分の中に居据わる圧力釜で、それには十分な理由があります。この釜はやがて爆発しますが、大概飼い犬とか、子供達、配偶者、または職場の同僚などがそのとばっちりを受けるようになります。一度爆発したら彼らは全く錯乱状態に陥ります。そして自ら忌まわしい行動に奔るようになり、その結果自分が逃避を試みた圧力釜に、より一層大きな圧力を加える羽目に陥ります。

シャムバーラマスター達は、圧力釜が熱くなればなるほど人々はその蓋を取り釜の中に何が煮えているのか確かめるのを厭う事を、よく知っています。そして自分の内の熱気が増すに連れ、もしや他人がその中を覗いて、自分が怖れ対決し得なかった醜い中味を見定めるのではないかと、戦々恐々するようになるのです。こういう恐れが募るほど、彼らはまたもや逃避の方に奔らなければなりません。

逃避は暴力に繋がります

逃避とは二つの顔を持つ事が、今でははっきりしました。一つは著しく暴力的で、危険極まりなく且つ破壊的であり、もう一つは、しばしば健康なるストレス解消策や個人的な娯楽、または無害な逃避として奨励されています。しかしこういう逃避の二つの顔は、独楽回る銅貨の二面に等しく、各々を判別するのは至難な業であります。逃避に組するのは暴力に組することです。逃避は暴力につながります。平和狂信主義者が、自分の主義主張を広める手段として殺人も厭いません。過激な“生への権利”主義者が、妊娠中絶クリニックに放火します。宗教戦争に加担するのは宗教狂信者です。完璧なる愛情関係の上での完全なパートナーを捜し求めると言うおろそかなロマンチストが、子供を姦淫し、近親相姦を敢えてするのです。

シャムバーラマスター達は暗黒の両面をよく知っています。それが故、彼らは彼らと彼らの弟子達に、人生の難しい現実に勇気ある対決をするよう意識的に説得をします。シャムバーラマスター達は、全ての問題を真正面から取り組んで、彼らの最悪の恐怖からも退かぬことを、彼ら自身と弟子達に教えるのです。シャムバーラマスター達は、彼らと弟子達に、暗黒の二つの顔を共に識別できるように教えます。

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